「昭和の日」法案 政局絡めず成立をはかれ(平成15年9月29日)

産経新聞(平成15年9月29日朝刊)・『主張』より

 テロ対策特別措置法延長問題の陰に隠れているが、今国会にはもうひとつ大事な法案がある。四月二十九日を「みどりの日」から「昭和の日」に変更し、五月四日を「みどりの日」とする祝日法改正案である。

 すでに前国会で衆院を通過、参院での可決・成立を待つばかりとなっているが、十月の衆院解散・総選挙が確実視されるなか、審議日程も決まらず、行方が懸念されている。この法案は、衆院での可決のさい最大野党の民主党も賛成に回るなど、国民の多くの支持を得ている。政局の動向に左右されたり、いやしくも政治のかけひきに利用することなく、速やかな成立をはかるべきである。

 言うまでもなく、四月二十九日は昭和時代の「天皇誕生日」だった。昭和天皇崩御の後、祝日として残すため緊急避難的に「みどりの日」となった。しかしその直後から「昭和時代の栄光と苦難をしのぶ日があるべきだ」などとして、「昭和の日」とするよう求める声が強まった。

 こうして議員立法として提出された祝日法改正案であり、三年前に参院先議で可決されながら、衆院段階で与野党対立激化のあおりを受け、いったん廃案となった経緯がある。

 今の法案はその改正案で、平成十七年からの実施を目指しており、七月に衆院通過後、今国会の冒頭にも成立するものとして期待が高まっていた。

 にもかかわらず、それが危ぶまれているのは、十月十日にも衆院解散の可能性が高くなるにつれ、与野党の対立が強まり、与党側にもテロ特措法などいわゆる期限つきの重要法案を優先させようとの意図が見られるからだ。

 しかし「昭和の日」も、一つの歴史を共有したという国民の一体感を強める意味で極めて重要な法案である。しかも、最大野党の民主党は衆院段階で「反対する理由はない」としてきた。与野党がその気になりさえすれば、短い期間でも審議し、成立をはかれるはずである。

 このまま、参院が審議にも入らないというのは、圧倒的多数で可決した衆院ばかりでなく、国民への裏切り行為であり、とうてい理解は得られない。与野党とも政局やかけひきなどとは離れた高い次元で考えてほしい。

[昭和の日」設立へ。旧「昭和の日」推進ネット」のご紹介
Copyright 2006 All Rights Reserved.